2023.2.27

“きれいなあした”を実現するレンタルシステムのパイオニア「サニクリーン近畿」

“きれいにしたい。あしたのために。”
サスティナブルビジョンとして掲げるのは、大阪府吹田市に本社を置く株式会社サニクリーン近畿。
マットやモップなどのダストコントロール商品や環境衛生関連商品を中心に、レンタルサービス事業を展開しています。
今回は、株式会社サニクリーン近畿のSDGsに注目します。




1962年創業
レンタルシステムのパイオニア

サニクリーングループは1962年にアメリカ生まれの技術である、水を使わずにチリやホコリを除去するというダストコントロールを日本に導入。日本初の業務用お掃除用品レンタル事業をスタートさせました。

経費削減と手間を解決するといった時代に即した画期的な事業として展開し、1966年東京に次ぐ二つ目のフランチャイジーとして「サニクリーン大阪」(現・株式会社サニクリーン近畿)を設立。現在、全国に23拠点を構え、“レンタルシステムのパイオニア”として、商品を使い捨てすることなく何度も繰り返し使用できるシステムを取り入れています。実に50年以上も前から環境保全に対する取り組みを積極的に行い続けてきました。


サニクリーン近畿の中核となって
環境保全に取り組む京都工場

「サニクリーン近畿」の中でも大きな役割を担っているのが、京都工場(京都府久世郡)です。ここでは「サニクリーン近畿」が管轄する大阪・京都・兵庫・奈良・和歌山・滋賀エリアにある19の営業所から回収された、飲食店やオフィス、学校などで使用されたレンタルマットやモップを洗濯・加工しています。同時に、環境への負荷軽減を叶えながら、きれいになったマットやモップを再びお客さまのもとへと届けています。


回収された使用済みマット・モップは京都工場に運ばれ洗濯・加工される。


100種以上にも及ぶ洗濯・加工されたマットが種類・サイズごとに分類されていて、ここからまたお客さまのもとへと届けられる。

新しい世代を担う子どもたちや未来のために、きれいな環境づくりを実践するという強い想いを大事にしながら、“きれいなあした”を実現するために、サニクリーン近畿の中核となって環境保全に取り組みました。2001年7月に「ISO14001」(環境マネジメントシステム)の認証を取得。今日まで認証を維持し続けています。

環境保全に関するSDGsの取り組みとして「6.安全な水とトイレを世界中に」、「7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに」、「12.つくる責任 つかう責任」、「13.気候変動に具体的な効果を」、「15.緑の豊かさを守ろう」が挙げられます。




長くきれいに使い続けるために
適した洗濯・加工

それでは具体的に京都工場の取り組みを見てみましょう。
レンタルマットの洗濯・加工過程を例に工場内を案内してもらいました。

まずはじめに、各営業所から回収された使用済みマットは種類や汚れの違いに応じて分類されます。
例えば、飲食店の厨房マットとオフィスのエントランスのマットでは、汚れの原因が異なるため、最初の段階できちんと分類し、汚れの原因に合わせた適切な洗濯コースや洗剤量で乾燥まで一貫して管理。そうすることで繊維を傷めず、汚れを最大限に落とすことが可能になるのです。

次に、分類されたマットは「ダスター」と呼ばれる機械で、マットに付着している砂を落とす作業が行われます。これは排水に砂が溜まってしまうのを防ぐための重要な工程となります。回転させて重力で落とすといった方法で、1日あたりおよそ1kgの砂が収集されているそうです。


分類されたマットは重量を計測した後、「ダスター」の機械へ自動で運ばれていく。


「ダスター」で落とした砂は集められ産業廃棄物として処理される。

「ダスター」が終わると洗濯・乾燥の工程に入ります。
それぞれの汚れや商品に合わせて洗剤の投入量を調整したり、落ちた汚れが再び付着することを防ぐための再汚染防止剤を投入するなど、細かくコースを設定して洗濯。1日あたり第2工場では96回、第1工場では68回行われています。環境にやさしい洗剤を使用し、排水処理にも徹底して環境への負荷を軽減しています。
例えば、洗濯加工後の汚水は汚泥と分離させ、何度もろ過を繰り返すことで、出来る限り汚泥から水分を除去し廃棄物を減らしているそうです。


洗濯機と乾燥機が各5台ずつ並ぶ。1回あたり200kg前後のマットの洗濯・乾燥が行われている。


約30分の洗濯を終えたマットは、向かいに並ぶ乾燥機へと自動で移動。約30分かけて乾燥・冷却する。

工場内の汚れた空気は集塵室に集められ、フィルターを通してから排気されるようになっています。乾燥機には「リントコレクター」といわれるフィルター装置でマットやモップから出る繊維くずを回収。ダストを減らすとともに、工場内の空気の流れを良くすることで、乾燥を従来の6倍の風量で行うことが可能です。その結果、省エネにも繋がっています。


「リントコレクター」で回収された繊維くずは、1~2時間に1回掃除が行われている。

次に乾燥を終えたマットは「仕分け作業」へと移ります。

これまでの工程は機械による自動運転でしたが、ここからは人の手と目による検品とサイズ別の仕分けが行われます。
汚れが残っていないか、ゴム部分の波打ちがないかなど、熟練の手付きと厳しい目で検品し、畳んで種類ごとにワゴンに積み込んでいきます。
この時、検品ではじかれたマットは再度異なる方法での洗浄や修理が行われ、長く使えるよう徹底してきれいな状態に戻して、再びお客さまの元へと届けられているのです。


1回あたり5分以内で素早く行われている検品・仕分け作業。目立たない汚れも見落とさない。


検品ではじかれたマット。◯で囲んでいるところが残っている汚れ箇所。

役目を終えてしまったマットやモップは、産業廃棄物として専門業者に引き取ってもらい、その一部が廃棄物固形燃料化され「アップサイクル(創造的再利用)」されているそうです。
これは「RPF」(Refuse Paper&Plastic Fuelの略称)と呼ばれ、マテリアルリサイクルが困難な廃プラスチック類や古紙、繊維くずを主原料とした高品位の固形燃料で、化石燃料の代替として製紙会社等で利用されています。

このようにレンタルで「リユース(再使用)」されたマットやモップは、最後まで無駄なく、資源のリサイクルに貢献する循環型エネルギーとして生まれ変わっているのです。


多様な人材雇用と働きやすい環境づくり

現在、京都工場の従業員数は事務員を含め42名。21歳から70歳と幅広い年代層が従事していて、そのうち9名が女性、障がい者雇用として5名が採用されています。
産休、育休を経て職場復帰する人や、一度退職した人が再入社し活躍する人も多いそうで、過重労働を防ぐため管理体制が整い、自由度の高いシフト制で多様な人材を採用しています。

これらはSDGsの目標「1.貧困をなくそう」や「3.すべての人に健康と福祉を」、「5.ジェンダー平等を実現しよう」、「8.働きがいも経済成長も」、「10.人や国の不平等をなくそう」にあたります。
もちろん教育研修・実務研修もしっかり行われており、「4.質の高い教育をみんなに」、「9.産業と技術革新の基盤をつくろう」にあたる人材教育・育成にも注力。お客様のおそうじに関する悩みや困りごとを解決するために、サニクリーングループ社内の資格である「おそうじマイスター」の取得制度を導入しています。


さまざまな研修や試験を実施し、合格者を「おそうじマイスター」として認定。社員取得率65.8%にのぼる。

また、工場は機械の大きな音が鳴り響く無機質なイメージを抱きがちですが、京都工場では音楽が流れていて、労働時のストレスが溜まりにくい環境となっていることに気づきます。

このように、働きやすい環境づくりがされていることで、従業員の個々の能力が発揮しやすかったり、健康的に働くことができます。従業員のモチベーションや満足度が上がることで生産性の向上につながり、それはおのずと顧客満足度にも比例していることでしょう。




職場体験やおそうじ教室などで広がる
地域社会貢献

京都工場では20年も前から、支援学校や近隣の中学校から職場体験として生徒の受け入れを実施。
副工場長の染本さんは、「(取材時の)ひと月前にも支援学校から1名の生徒さんが約2週間程度、職場体験で来られました。今後社会に出たときに困らないように体験され、学んでいただきました。逆に、こちらとしては指導することを学ばせていただいています。お互いに良い機会になっていると思います」と話します。

また、サニクリーン近畿ではAEDのレンタルサービスも行っており、保育園や介護施設、企業などで、いざという時に役立つAED救命講習会も行っています。
その他、今後も継続的に取り組んでいく内容として、先述した「おそうじマイスター」による企業や法人、各種団体の依頼に応じた「おそうじ教室」の開講や、お子様向けにおそうじに関する普及活動の実施も挙げられます。


AEDの正しい使い方など要望に応じた講習会を実施している。

これら地域・社会へのSDGsの取り組みとして「3. すべての人に健康と福祉を」、「4.質の高い教育をみんなに」、「8.働きがいも経済成長も」、「11.住み続けられるまちづくりを」、「16.平和と公正をすべての人に」、「17.パートナーシップで目標を達成しよう」が挙げられます。



今でこそ、世界共通の目標としてSDGsの取り組みが広がっていますが、創業当時から当たり前のように環境保全やより良い働き方を考えた取り組みが行われ、それを今日まで継続している「サニクリーン近畿」。
これからも“レンタルシステムのパイオニア”として、“きれいにしたい。あしたのために。”の想いを私たちに届けてほしい、そう感じた取材でした。

<株式会社サニクリーン近畿>https://www.sanikleen-kinki.co.jp/

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