スペシャル企画<REQUESTALK>
2023年

go!go!vanillas(牧達弥)
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緑黄色社会(長屋晴子) 対談


板東:「FM802 SPECIAL LIVE 紀陽銀行 presents REQUESTAGE 2023」に出演してくださるアーティストの特別な対談をお送りします。お迎えしたのはこのお二人です。

牧:go!go!vanillasのボーカル&ギター・牧達弥です。

長屋:緑黄色社会、ボーカルの長屋晴子です。

全員:よろしくお願いします。

板東:なんかちょっと初々しい……(笑)。

牧:ちゃんと会うのが初めて。

長屋:初めてがこの対談。

牧:フェスとかではね……。

長屋:……同じ日とかあるんですけど、ちゃんとお話ししたことがなくて。

板東:そんな感じなのね。お二人には普段からお世話になっていて、FM802でいろんな声を届けていただいているんですが、今回こういう会話が聞けるのはリスナーも楽しみじゃないかなと思います。

牧:何歳違うんですか?

長屋:私は1995年生まれで……。

牧:僕、1989年生まれなんで、6歳差。

板東:平成元年生まれですもんね。

牧:僕がね。

板東:みんな一応、平成生まれ。なんか言いたくなる(笑)。

長屋:平成大好き。

牧:一番いいよね。

板東:学年的には高校3年生の牧さん、で、小学6年生の晴ちゃん。

牧:そう考えるとやばいよね(笑)。

長屋:そこに当てはめると結構差があるように感じますね。

板東:かなりあるように感じる。牧さん・小学6年生、晴ちゃん・幼稚園年長さん。

長屋:おー!

牧:やめて。若返られると、どんどん差を感じやすくなっちゃうから(笑)。

板東:それぞれ多感な時期に音楽に出会ったと思うんですけど、初めて買ったCDは?

牧:よく聞かれますね。

板東:8cmだった? 12cmだった⁇

牧:短冊(型のパッケージ)でしょ? ギリ、短冊(の世代)でしたね。

板東:「だんご三兄弟」(1999年リリースの曲)とか。

牧:懐かしい。

長屋:家にありました。

板東:一応、知ってるのね。で、最初買ったCDは?

牧:俺、モーニング娘。の1stシングル、「モーニングコーヒー」。

長屋:意外。

板東:でも、私も初めて買ったCDはミニモニ。。

牧:あー!

板東:晴ちゃんは?

長屋:大塚愛さんの「愛 am BEST」っていうベスト盤を買いました。「さくらんぼ」が入ったやつ。

牧:聴いてた聴いてた。安心した。一緒だった(笑)。


板東:そこから、より自分たちの(好きな)音楽に(興味が)向くと思うんですけど、その芽生えはどういうタイミングだったんですか?

牧:中学校に入ってからかな。ずっとオリコン(のランキング)に入ってる邦楽を友達と聴いてたんですけど、友達のお兄ちゃんがロックバンドが好きで……。当時は人と違うのを聴いてる方がかっこいい!みたいなのがあって、そのお兄ちゃんにニルヴァーナとかラモーンズとかセックス・ピストルズとか、応年のクラシックなロックバンドを教えてもらって、かっこいいなって。学校でこれを聴いてるのは俺らだけやで!ってところから、バンド(に興味を持つ方向)へいった感じです。

板東:なるほど。晴ちゃんは?

長屋:歌いたいなって思ったのは、それこそ大塚愛さんを知って、シンガーソングライターって言葉も知って。私、歌めっちゃ好きだし、歌いたい!って、小学低学年ぐらいから言ってましたね。歌手じゃなく、自分で書いて歌ってるシンガーソングライターっていうのが、かっこいいと思って(笑)。

牧:その時から(曲作りを)やってたんですか?

長屋:小学高学年の頃、楽器はまだやってなかったので曲は作れないものの、マネして歌詞を書いたりはしてました。

牧:その歌詞は残ってるんですか?

長屋:あります、捜せば。家族には捜さないでほしいです(笑)。

全員:(笑)。

牧:実家にあると掘り起こされますからね。お母さんとかに恥ずかしいやつを(笑)。

板東:それぞれ10年のキャリアがおありですからね。バニラズはインディーズデビューが2013年。緑黄色社会は結成が2012年。10年ってどんな感じですか?

牧:バニラズっていうものの形が、一つしっかりとできたなって。村がちゃんと完成して、〇〇村って言えます!みたいな。ここからは一生懸命で必死っていうよりは、腰を落ち着けていろいろ試していこうかなと。昔より自分たちの音楽を楽しめる感じはします。

板東:村という表現、いいですね。リョクシャカ(緑黄色社会)はどう?

長屋:同じような意見ですね。そもそも似た好みで集まったバンドじゃないんですよ。ただ音楽をやりたいだけで集まったバンドだったから、最初の方は自分たちの音楽性とか、らしさみたいなものについてすごく悩んだ時期があったんですね。でも10年で自分たちらしさを見つけられた気がして。10年経ってようやく私たちがしっかりしてきて、村が見つかったので、10年目以降は次のフェーズに進める感じがあります。


板東:よい! よいです‼ 力みなぎる。で、その2組の共通項を見てみたら、メンバー同士が学生時代からの友達で、全員が作詞作曲をする。これはなかなかないかもしれないですね。大体フロントマンが曲を書いて、メンバーがそれに肉付けしていく感じですが、お二人のバンドでの立ち位置や意識はどんな風ですか?

牧:作った曲を歌うのは、その(作った)メンバーなんですか?

長屋:コーラスはみんなでするんです。で、壱誓はもともとメインボーカルを志望してたんですよ。でも私がぶん取っちゃったような形なんですけど……(笑)。

牧:お、バチバチだ(笑)。

長屋:なのでツインボーカルっぽい曲もあったりします。

牧:なるほど。

板東:でもバニラズも……。

牧:俺も(柳沢)進太郎もしっかり歌ってて、(長谷川)プリティ(敬祐)と(ジェット)セイヤは、気合い!みたいな感じでやってますけどね(笑)。

板東:気合い(笑)。

牧:気合いでやってる。なんで、みんなが作詞作曲をするって言われると恐れ多いんです(笑)。親心的にも。

板東:バンドのなかで親的な感じなんですね。

牧:そんな気持ちになってきました、最近。

長屋:ちょっとわかるなー。

板東:晴ちゃんも?

長屋:メンバーはすごく個性が強くて……。で、うちはリーダーを設けてないのもあって、私はボーカルとして一番見られる立場だし、しっかりしなきゃっていう気持ちにどんどんなっていきます。

牧:ね。もうみんなが幸せでいてくれたら、それでいいやみたいな。

長屋:そうなんですよね。

牧:やりたいことやれて、よかったね!みたいな。

板東:フロントマンって、そういう立ち位置なのかもしれないですね。じゃ、ちょっと話を戻しまして、バンドを始めた頃のことを聞いてみたいんですけど。

牧:曲を作ってメンバーに聴かせるって結構恥ずかしくて。

長屋:わかります。最初はそうでした。

牧:曲はいいんですけど、歌詞を見せるのが恥ずかしかったですね。なんか頭の中をのぞかれてる感じだし、それこそプリティとかは中学から一緒だし。付き合いが長いと、褒めることとかが、あまりできなくなるじゃないですか。家族でもよそよそしくなっちゃうみたいな。それがあったんで一生懸命に書いた歌詞、(特に)恋愛っぽい歌詞とかはすごく恥ずかしい。あ、お前こういう感じ? こういう恋愛なんだ!みたいに思われるのが嫌で、それに意識がいき過ぎて、いい曲かどうかなんて全然覚えてない感じですね。それゆえに難しい言葉を使ったりしました。

長屋:あー、わかります。

牧:なめられたくないから、謎のテストみたいになってくんですよね。

長屋:わかりやすい言葉は使いたくないみたいな。

牧:使ったら、そこを見られる感じがして。お前この言葉知らんやろ?くらいの感じで、四文字熟語みたいな。「エマ」の(歌詞の)“危機的興味本位”って、もうすごい言葉ですからね。


板東:サビのところね(笑)。恥ずかしさゆえのカモフラージュ。

牧:してましたね。

板東:自分の心はそこまで明け透けにはしないというのが最初の作詞体験。晴ちゃんもそうなんだ?

長屋:もともと(難解な歌詞が)好きだったのもあって、自分が最初に作詞した時はやっぱり(牧と)同じで、より難解というか一度見ただけじゃわかんない歌詞にしてました。でもあとで気づくんですよね。わかりやすい方がいいってことに。で、直っていくんです。

牧:そうだね。

長屋:でも最初の作り方はセッション形式というか、バンドでスタジオに入って、せーの!で音を鳴らすやり方をしてたんですよ。で、ギターの小林がバーッとホワイトボードに歌詞を書くことが多くて。ただ彼は恥ずかし気もなく書いてくれるタイプだったから、やりやすかったんです。

牧:それはもともと考えてきたのを書いてくれるの?

長屋:(考えてきたもの)とか、その場でとか、どっちもですね。

牧:即興(笑)⁉ すごい。

長屋:あ、今ひらめいたわ!とか言ってバーって書き出して、その場でどんどん肉付けしてくみたいなやり方をしてました。

牧:心強い。

長屋:そういう堂々としてる人が一人いたから、これって恥ずかしいことじゃないんだ!ってなって、自分の歌詞や言葉にどんどん自信を持つようになりましたね。

牧:とてもいいメンバーですね~。

板東:(言い方が)しみじみ(笑)。こういう対談になると、うちの子は……ってなるんですよね(笑)。

牧:よその家の庭はすごくきれいに見えるというか、美しいなと思いますね。

長屋:でも、うちはメンバーの性別が違うっていうのが結構(go!go!vanillasとの違いの理由に)あるかも。あ、そういう風に考えてるんだ!って違う価値観をちゃんと受け入れられるというか。

牧:いい村だー。

長屋・板東:(笑)。

牧:俺も入村したいくらい。ノビノビできるかも⁉

板東:でもメンズ同士だからこその男の浪漫も感じない?

長屋:すてきですよ!


牧:すごく素直でピュアなやつらなんで、足を引っ張り合うこともないし、いいものをちゃんとお互いに共有し合えますね。もともと音楽的なつながりも強くて、いまだに新しく好きになった音楽があれば聴かせ合ったりしますし、一緒にライブに行ったりもします。

長屋:じゃあ結構仲よしですか? お友達みたいな感覚⁇

牧:そうっすね。

長屋:その関係性が一番いいですよね。仕事感とかもなくてっていうのが一番すてき。

牧:さっきの話に戻るけど、10年経って何も変わらないは、そういうところがあったからで、それはすごくうれしいですね。

長屋:確かにそういう関係性がないと、そもそも10年も続けられないかも。

牧:絶対そうだと思います。

板東:ちなみに、お二人には憧れのミュージシャン像はありますか?

牧:それは大分変わってきましたね。最初の方はザ・リバティーンズとか、アークティック・モンキーズとか、ロックスター然とした人たち。誰かにいい顔をしたりせず、自分の軸で立ってるのがかっこいいなって思って、今でももちろんそう思うけど、実際にステージに立って、お客さんがワー!って熱狂するのを見た時、自分はやっぱりそれに反応して共感して一緒にうれしくなっちゃう。そういう自分の直感的な感情……あふれ出てしまうものとかはちゃんと伝えたいし、それにプラスして、さっき言ったようにメンバーに対しても、みんなが幸せでいてくれるならそれでいいや!みたいな方向になってきてるから、以前とはまた違う感覚になりましたね。

板東:時代も反映されているかもしれないですね。晴ちゃんは?

長屋:バンドを好きになる前は、さっき言った大塚愛さんとか、いきものがかりさんとか、女性ボーカリストを聴いてて、いきものがかりの(吉岡)聖恵さんのパワフルな歌い方とかに憧れてたんですよ。で、バンドを始めてからは男性ボーカルの邦楽ロックを聴くようになったんですけど、理想とする誰かがいるってわけじゃないんですよね。(自分と同じ)女性ボーカルのバンドって意外と少ないので、今は誰かを目指すというよりは自分のいい像を見つけていくというか。でもいろいろ考えちゃうタイプなんで、今は頭を空っぽにしてライブをすることを目指してます。

牧:ありのままでね。

長屋:そう。ひょう依型じゃないですけど、その場の空気を大事にして雑念とか全部置いて、その場で楽しむことが目標というか理想の像ですね。


板東:今回の「REQUESTAGE」でも、そんなライブを見たいですね。今、晴ちゃんは頭を空っぽにするという話でしたが、ライブ中はどんなことを考えてるんですか? ライブ中ってどこ見てるの⁇ 私、ボーカリストの方の目線が気になっちゃうんですけど、結構あちこちを見てますよね。

長屋:しっかり遠くの方も見えてます。

板東:お客さんと目を合わせたりもするの?

長屋:私、目を合わすことが照れ臭くて、目が合ったなって思ったら、あ、ごめん!ってそらしちゃうことがある。

牧:なるなる。ライブハウスとかだと(観客と)めっちゃ近いし。普通に生活しててもこんなに近くで目を合わせることってないから、そら恥ずかしい。

板東:6秒でしたっけ? 目を合わせたら恋に落ちるっていうの。

牧:そうなんだ。

長屋:確かに6秒って相当長いですよ。ま、でも当たり前ではあるんですけど、みんなボーカリストを見てくれるから、私のことすごい見てる! 緊張する‼ってなることはありますね。

板東:(観客としては)こっち見てー!って思ってるもん。目が合ってなくても合ってると思ってる(笑)。

牧:学生時代、クラスのみんながいる前で好きな子とずっと目が合ってると、(周りの友達に)いい感じやん!みたいな風に思われるからヤバい!ってなって、無意識に(好きな人を)見ちゃってるけど、周りにそう思われないようにサッと避けて、その隣の人を見るとか、プリティ見て一回落ち着くとか(笑)。

長屋・板東:(笑)。

牧:そういうのやっちゃう(笑)。

板東:牧さんはオンステージで色気をいっきに放つ。今と全然違うので、もう目を合わせにいってるもんだと思ってました。

長屋:でも、ボーカリストの方って堂々としてるように見えて、お話を聞くとすごく緊張しいな方が多くて、本番前はバクバクなんだよっていう人間らしい人が多い気がしますね。

板東:あと、ライブ前のルーティンは? リョクシャカは以前イベントの時、裏で全員がパンパンパン!って背中を叩き合ってた。

長屋:ガチで痛いですね。

板東:それはルーティン?

長屋:ルーティンですね。10年ぐらいやってます。私を含めて緊張するメンバーがいるんで、本当に痛いんですけど、緊張する気持ちがそっち(痛み)に向くくらい、頑張れよ!って気合い入れを一人ずつやりますね。

板東:結構な音だった。バニラズは?

牧:円陣、組みますね。あと、サウシー(Saucy Dog)のツアーで対バンの時、僕らが先に出たんですけど、(石原)慎也が緊張しいというか、気合い入れしいなんで(笑)、マジで気合い入れないとヤバい!みたいになってて……僕らが先にやってるからね……もう叩き過ぎてて。背中だけじゃなく太ももとかも、大丈夫?ってくらいバチバチバチバチバチ!って直前までやってたんです。で、僕も実践してみたら確かに緊張が解れるんで、今もやってますよ。

長屋:物理的に体を起こすというか。

板東:それであんな風に登場できるんですね。現れた瞬間のワー!っていうのが最初の興奮ですからね。

長屋:出た瞬間、今までは拍手だけだったのが、最近はみんながワー!って言ってくれるので、(歓声が)戻ってきたって感じがしてうれしいです。

牧:わかる。わかる。

板東:今、想像して鳥肌が立った(笑)。4月29日(土・祝)の「FM802 SPECIAL LIVE 紀陽銀行 presents REQUESTAGE 2023」は、大阪城ホールという大きな会場で開催されまして、そこにリスナーが集う集会のような感じになります。タイムテーブルは発表しないので、最初から最後までラジオから(アーティストが)飛び出てくるような感じを楽しんでもらえたらなと思います。お二方のステージもどうなるのか楽しみにしています!

牧・長屋:はい。よろしくお願いします!

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☆FM802 SPECIAL LIVE 紀陽銀行 presents REQUESTAGE 2023
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