LIVE REPORT 2022

[ライブレポート]

3年ぶりに万博記念公園にカムバック!7,000組14,000人のリスナーが集ったラジオヒット満載の1日

5月28日、大阪のラジオ局·FM802が主催する日本最大級の野外フリーコンサート「FM802 MEET THE WORLD BEAT 2022」(以下、MTWB)が万博記念公園・もみじ川広場で開催された。1990年の誕生以来、毎年開催されている同局の夏の定番イベントだが、惜しくも2020年は中止、2021年は配信ライブとして行われ、今年は3年ぶりに有観客での開催を迎えることに。また、昨年からは開催月を変更し、夏を先駆けする風薫る清々しい季節での開催となった。会場にはFM802の各番組を通じて、20万通を超える応募の中から選ばれた7000組14000人のリスナーが集結。出演はFM802に縁のあるアーティストとして、AI、Creepy Nuts、go!go!vanillas、高橋優、Vaundy、miletが。さらに、今年新たに設けられた、FM802がこれからの活躍を期待するアーティストが出演する「HOT BEAT ACT」ステージにKroi、Wurtsが登場。開放感たっぷりの野外会場で、ラジオヒット満載の音楽を届けてくれた。

Vaundy

まずトップバッターはVaundy。今年9月には日本武道館で初の2days公演も決定している、マルチな才能で注目を集めるシンガーソングライターだ。現在、同局内の番組「MUSIC FREAKS」(毎週日曜22:00~24:00)に隔週でDJとして出演中ということもあり、リスナーからの歓迎の拍手はより大きく響いている。1曲目は脱力感が癖になる「不可幸力」、ストリーミング配信では1億回再生を越えるキラーチューンだ。感情をおさえたラップ、サビの爆発力に誘われ、観客はご機嫌に体を揺らし音に応える。YouTubeのCMソングでもお馴染みの「踊り子」、3月にリリースしたばかりのシングル「恋風邪にのせて」と、才知に富んだ楽曲センスで次々に楽曲を披露していく。2020年5月のFM802のヘビーローテーションにも選曲された「灯火」では流動的な歌声がするりと心に入り込み、多幸感いっぱいに。「またオレに会いにくるだろ? 本気を見せてくれ!」、強気なMCで観客を煽ると、「花占い」からラストスパートへ。夏を感じさせるシュワっと爽やか&アッパーなナンバー「怪獣の花唄」で全身全力の歌声を響かせ、全6曲を駆け抜けた。

go!go!vanillas

2015年以来、2度目の出演となるgo!go!vanillasは「LIFE IS BEAUTIFUL」からご機嫌なカントリーロックで観客の心を掴んでいく。ジェットセイヤ(Dr)の軽快なリズム、柳沢進太郎(Gt)の牧歌的だけどしっかり興奮を煽るメロディ。たった1曲の披露で、オーディエンスの心がひとつになっていくのが伝わってくる。イントロを聴くだけで笑顔がほころぶ雷雨の定番曲「エマ」では、長谷川プリティ敬祐(Ba)の喜々としたビートに誘われ、芝生の上で裸足で踊るチビっ子の姿に心がほっこり♪
「空に見える雲の切れ間のように、心青くいきましょう!」と、今年3月にリリースされた「青いの。」へ。牧達弥(Vo&Gt)の歌声はいつだって胸をキュンと締め付けて、甘酸っぱい気持ちにさせてくれる。牧は野外の会場に集まったたくさんの観客を前に、「音楽を生で感じられる、ライブを感じてもらえる空間がどんどん増えてきている。(まだまだ)これは当たり前じゃない。好きな音楽を耳に詰め込んで毎日を頑張って。大阪のために歌うよ」と、「アメイジングレース」で観客に笑顔を届けると、次曲「お子様プレート」でバンドのテンションはさらに加速! ラスト「平成ペイン」まで、全力疾走のまま一気に駆け抜けていった。

Wurts

「HOT BEAT ACT」ステージ第一弾はWurts。楽曲はもちろん、映像もデザインもセルフプロデュースする、ジャンルレスな楽曲が注目を集める気鋭のシンガーソングライターだ。2021年に本格始動したばかりの彼は大阪でのライブは初めてどころか、イベント出演も初めて。日頃から顔出しをしていない、まだまだ謎多い人物だ。そんな彼のパフォーマンスを生で体感できるとあって、ライブ開始前から前のめりになってステージを見入る人が続々♪ Wurtsはアメフト風のTシャツとヘルメット、キャップを目深にかぶって(目だけくり抜いて見えてる⁉)登場すると、1曲目「僕の個人主義」から独自の世界観を打ち出していく。MCもなく、次々に楽曲を投下していくなか、「Talking Box(Dirty Pop Remix)」では性急なラップを展開しつつ、観客に手を振る余裕もちらり。「NERVEs」(2021年12月のヘビロテ)、「リトルダンサー」と、多彩な楽曲陣で観客を魅了すると、「ありがとうございました」と短く言葉を残し、ラスト「分かってないよ」へ。ステージが終わったあとも、ポップで癖になる“分かってないよ♪”のサビがいつまで頭をループし続けていた…。
ステージの転換中はFM802のDJ陣がMCで登場。感染対策のために歓声が出せない観客の興奮を代言するように、熱い言葉を投げかける。

高橋 優

ドラムロールが観客の期待を煽るなか、高橋 優のライブがスタート! MTWBへは2016年以来、2度目の出演となる彼。「大阪のみなさん、こんにちは高橋 優です。会いたかった!」と、この日は「Piece」から名曲ぞろいの楽曲陣で、観客の胸の奥の心地よい部分をこれでもかと刺激していく。次曲「虹」では聴く者の心を鼓舞する言葉の数々に、オーディエンスが掲げる拳にも自然と力が漲っていく。彼が描く、嘘のない、真っすぐで人間臭い詞世界。そしてそれを伝える生命力に満ち溢れた歌声。じっと立ちすくんで聴き入る人、大きな手拍子で一緒に音に乗る人、みんな思い思いに彼が描く音の世界に浸っている。そんな観客の気持ちを知り尽くしているかのように、「一緒に楽しい時間を過ごしましょう」と、次曲「ever since」で優しい歌声を響かせる。ステージ後半、名曲「明日はきっといい日になる」ではタイトル通りな魔法の言葉で会場の熱量を高めていく。「最高の時間を過ごしています。次会うときは声を出して歌えたらいいなと思って書いた曲です」とラスト「HIGH FIVE」へ。前をまっすぐ見据え、力強い歌声を響かせた彼の姿に惹かれ、ライブが終わると気分がより一層晴れて、なんだか背筋がすっと伸びていた♪

milet

暑い日差しも落ち着き、イベントもここから折り返しへ。miletは風にたおやかに揺れるシアーなワンピースを纏ってステージにイン。「checkmate」からハスキーだけど艶があって滑らかな歌声で観客を圧倒していく。風が心地よく吹き込む野外の会場は彼女の歌声にぴったりとハマっているようだ。デビュー作「inside you」では、凛とした歌声に吸い込まれるように聴き入る観客の姿も印象的だった。
楽曲の世界観からミステリアスな印象を持つ彼女だが、MCでは「最後までよろしく!Let’s Go!」と快活な表情を見せる姿も。「us」で淡い恋心を可憐に、「Before the Dawn」では洋楽と邦楽の音のバランスを絶妙に織り込んだ歌声でと、美声にも様々な形があることを体感させてくれる。昨年は同局の番組でDJとして出演していたこともあり、久しぶりの大阪でのパフォーマンスにご機嫌な彼女。「特別に♪」と、5月25日にリリースしたばかりの「Walkin’ In My Lane」をライブ初披露。ポップでエモーショナルな展開の楽曲で会場を盛り上げると、ラスト「Time In On Our Side」ではステージを右へ左へと駆け走る! 去り際、「おおきに♪」とキュートな笑顔にさらに虜になった人も多いだろう♪

Kroi

「みなさん、ブチ上がってってください」と、サウンドチェックからご機嫌なサウンドを鳴り響かせたのは「HOT BEAT ACT」ステージ第二弾のKroiだ。今年1月には「FM802 RADIO CRAZY presents LIVE HOUSE Antenna -GSシリーズ-」にも出演するなど、東京発のバンドながら大阪との繋がりは深いのは、やはりFM802あってこそだろう。1曲目は夕暮れ時のリラクシンな時間にぴったりハマる、2021年6月のヘビロテに選曲された「Balmy Life」。R&Bもファンクもソウルも、多彩な音楽ジャンルの気持ち良いとこ取りなサウンドが持ち味の彼ら。「Juden」では全身で音に塗れたくなるファンキーなサウンドで観客を踊らせる♪
「Kroiの名前を頭の片隅においてもらえたら♪」と謙虚な姿勢を見せつつ、5月にリリースした新曲「Pixie」ではシックでドープなサウンドで、卓越した楽曲センスを見せつけていく5人。「どんなバンドかわかってくれましたでしょうか? 自分たちが良いと思ったことを追求していくバンドです」と、ラスト「Fire Brain」まで、バンドの存在をしかと印象付ける個性溢れる楽曲陣を届けてくれた。

Creepy Nuts

MTWBもいよいよ終盤。Creepy Nutsはステージ転換中からDJ松永の技巧派テクで会場を盛り上げると、1曲目「Bad Orangez」でさっそくR-指定が高速フロウをぶつけていく。「俺たちと夜更かしできるやつ手上げて!」とくれば、次にくるのは日本語ラップの魅力満載な「よふかしのうた」だ。シンプルなリズムに乗っかって、R-指定が次々にキラーワードを放ち、スムースなラップが楽曲のポップさを倍増させていく。「合法的トビ方ノススメ」では、艶っぽいビートのなか、思わずニヤリとなる小技の効いたリリックを連発。1万4000人が手を上げて音に乗っかる様子はとにかく圧巻で、彼らのポテンシャルの高さに改めて惚れ惚れしてしまう。MTWB初登場の彼ら、地元大阪出身のR-指定は出演を喜びつつも、会場となる万博記念公園は“北大阪”ということで“南大阪”出身の自分が地元と呼んでいいのか…と、地元トークで盛り上がるシーンも♪
ステージ後半は6月1日に配信リリースされる、映画「極主夫道 ザ・シネマ」の主題歌「2way nice guy」、「かつて天才だった俺たちへ」などCreepy Nutsの魅力満載なステージを繰り広げていく。ラストは「のびしろ」、R-指定は「コロナ禍で辛いことも多かったけど、音楽が好きな人たちはその期間に体でライブを楽しむスキルを習得したはず。大声が出せるようになったらコロナ禍以前よりもヴァイブスが上がっているはず! そのスキルを伸びしろにしよう!」とライブに懸ける思いを熱く語り、観客の心をひとつに。

AI

大トリを務めるのは、今年でMTWB4回目の出演となるAIだ。この日彼女がセレクトした楽曲はとにかく愛に溢れ、そこかしこに彼女の想いを感じるものばかりだった。1曲目にセレクトしたのはAwitchとのコラボが話題となった「Not So Different-Remix-」。不安定な情勢が続く今だからこそ伝えたい、そんな想いを体現したこの曲。いつだって音楽に想いをのせて発信してきた彼女だからこその説得力に満ちた楽曲で、たった1曲の歌唱で自然と力が漲ってくる。次曲は「VOICE」、“愛を広げて”と繰り返し歌う姿は美しくもエネルギーに満ち溢れていて、その存在感の大きさに思わず涙がこぼれてしまう。
トリでの出演に緊張しつつも、「このまま帰りたくない!」と久しぶりの野外でのライブに興奮を抑えきれない彼女。気持ちを落ちつかせようと、得意のバラードを続けて披露していく。名曲「Story」では優しさで包み込むように歌う姿に魅せられ、会場のあちこちでママやパパが愛おしそうに子どもを抱きかかえる姿も見える。NHK連続テレビ小説の主題歌として話題となった「アルデバラン」では、ゴスペルをベースに音楽活動を展開してきた彼女ならではの歌唱でオーディエンスを圧倒! かと思えば、「I Wanna Know」ではダンサーとともにキレのあるダンスも披露♪ 最後は「みんなが最高にハッピーになりますように!」と、「ハピネス」でこの日一番の多幸感いっぱいの音楽で愛を繋ぎ、ステージは終了。

なお、この日のイベントの模様はFM802の特別番組「FM802 MEET THE WORLD BEAT 2022 SPECIAL」として、6月25日(土)21:00~23:00にオンエアを予定。DJには飯室大吾、加藤真樹子が登場し、ライブ音源やアーティストインタビューなどを放送するなど、当日の盛り上がりをもう一度ラジオで体感できる内容に。ぜひ番組をチェックしよう!



【イベント概要】
■FM802 MEET THE WORLD BEAT 2022
●日時=2022年5月28日(土)
●会場=万博記念公園自然文化園「もみじ川芝生広場」
●FM802リスナー7,000組14,000名様無料招待
●出演=AI/Creepy Nuts/go!go!vanillas/高橋優/Vaundy/milet
 HOT BEAT ACT=Kroi/WurtS
●主催=FM802
●協賛=サントリーGREEN DA・KA・RAやさしい麦茶/HORIBA/マクセル/映画「冬薔薇」/Yogibo/線虫N-NOSE
●協力=ナカバヤシ/ぴあ/公益財団法人エイズ予防財団/EXPOCITY/SellCa/LAWSON
●後援=J:COM/スペースシャワーTV
●運営=GREENS

撮影:井上嘉和・田浦ボン
テキスト:黒田奈保子

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