LIVE REPORT 2019

[ライブレポート]

豪華全10組のアーティストが競演&共演!
14,000名がFM802 開局30周年のメモリアルサマーを満喫!!

毎年大阪に夏の訪れを告げる、日本最大級の野外フリーライブ「FM802 MEET THE WORLD BEAT」が7月21日、万博記念公園 自然文化園 もみじ川芝生広場にて行われた。これまでよりフードエリアが拡大しパワーアップした今回、会場には多数の応募から当選した幸運な7,000組14,000名が集結。同局のDJ陣も要所ごとにナビゲートで参戦し、FM802と縁の深い10組もの実力派アーティストがかわるがわるリスナーを沸かし続けた約6時間におよぶ、この日の全ライブをご紹介しよう。

カラリ!とはいかない鈍色の空の下、開演直前、舞台にFM802のDJ・落合健太郎、加藤真樹子、野村雅夫が並び、出演者をコールすると会場は即総立ちに……。そして全員で雲を吹き飛ばすかのごとくフルボリュームで“Here we go!”と声を合わせ、いよいよ「FM802 30PARTY MEET THE WORLD BEAT 2019」が幕を開ける!

  • ベリーグッドマン
  • ベリーグッドマン
  • ベリーグッドマン
  • ベリーグッドマン

ベリーグッドマン

MOCAが躍り出て“大阪、一緒に遊びましょう!”と口火を切ると、勢いよく“手を叩け!”“飛び跳ねろ!”と煽っていっきに加熱。もちろん流れるのは「Mornin'」のリミックスや「ベリーグッド」といったアッパー系で、途中には「森のくまさん」から「千の風になって」までを行き来する“爆笑コール&レスポンス”も織り込まれ楽しさも満点だ! そして「Vibes UP!!」では早くもタオルが頭上でぐるぐる。フェスのムードも堪能させてくれる。しかもRoverのツッコミも見事なMOCAとの掛け合いのMCや、モニターに映し出されるMOCAの“顔芸”など、笑いどころもまったく途切れない。だが、しっかりと歌を聴かせリスナーの背中を押してくれるのも彼らの魅力。HiDEXの感傷的なボーカルがよりせつなさを増す「ライオン」の“負けないで”のフレーズにはファンの拳も突き上がり、次の「大丈夫」でも3声が溶け合って耳に届く“大丈夫”の言葉がぐんぐん心に染み込む。そんなバラード2つから「Supernova」で再び急上昇させると、3人のハッピータイムの“しめ”は「ライトスタンド」。やさしく、そしてさわやかに、まだまだ続く今日一日の音楽体験へと観客たちを送り出してくれた。そのトップバッターっぷりは、まさにパーフェクト!

  • SIRUP
  • SIRUP
  • SIRUP
  • SIRUP

SIRUP

イントロダクションのトラックからクラブの空気感へとチェンジし、さらに6月のFM802ヘビーローテションだった「Pool」のリラックスしたラップとメロディで引き込むと、観客の掲げたカラフルなうちわがヒラヒラと舞い出す。そして「LOOP」でよりディープに……。メロウなボーカルは曇り空の曖昧な色合いともよくなじんで浮遊感も感じさせる。だがここからは“声出してもらいたいのはこの曲”と、「SWIM」で“Good music”“We love it”のコール&レスポンス! 跳ねるリズムと心地いいグルーヴに人々は自由に体をゆらゆらとさせ、続く「Do Well」の“タラッタッタ”のリピートとクールなラップにはクラップも発生。高揚感も残し、彼はステージをあとにした。ちなみに大阪出身のSIRUP。スタイリッシュでありつつも人懐っこい自身の音楽のように、MCは関西弁で“ご近所感”高めだった。

  • Little Glee Monster
  • Little Glee Monster
  • Little Glee Monster
  • Little Glee Monster

Little Glee Monster

まずは「君に届くまで」で絶妙なハーモニーを甘酸っぱいメロディにのせ広げると、「Love To The World」ではいきいきとした元気いっぱいの歌声。メンバーがそろってステップを踏めば、オーディエンスの手もそろって左右に振られる。モニターにも彼女たちのスマイルが映し出されるがMCもニコニコで、manakaは“アサヒ以外は関西弁なんですよね”と話して、グループがホームのように思う関西の大舞台に立てたことを喜ぶ。すると、それを表すような大ジャンプからのポップナンバー「好きだ。」で華麗なフォーメーションダンスも披露。加速して「だから、ひとりじゃない」、「OVER」と立て続け攻め込むと、ファンは縦列になり次々とボーカルをとる姿やバンドと息ぴったりのアクトに、目も耳も釘付けに……。ふと見上げると天気も変わって太陽が輝いている! そんな“真夏”をもっと色濃くするのは、彼女たちの代表曲ともいえる「世界はあなたに笑いかけている」。会場の手拍子も大きくなってヒートアップするが、ラストはその火勢を鎮めるかのように「Jupiter」をアカペラから。荘厳な響きについさっきまで沸き立っていた人たちも動きを止めジッと聴き入り、じわじわと内側からこみ上げる感動を噛みしめているようだった。

  • ナオト・インティライミ
  • ナオト・インティライミ
  • ナオト・インティライミ
  • ナオト・インティライミ

ナオト・インティライミ

“ナオト来たで~”と、ドラムを背負いギターを抱え“大荷物”で1人登場すると、手も足も口も総動員してのスゴ技で音を繰り出しシングルメドレー! 「恋する季節」、「今のキミを忘れない」など7曲もの“おいしいところ”を惜しげもなく連投するから、これだけでもかなりのお得感だ。また動き回る彼を追いかけるモニターの映像もなかなかの見ものに違いない。そして“大荷物”を降ろすと世界リリースが決定したことを述べ、だからこそ“日本の名曲を……”と「あの素晴らしい愛をもう一度」をカバーするが、そこはスキャットやボイスパーカッションも交えたナオト流。さらに最新曲「花」ではダンサー4人も加わってダンスありラップありで、リスナーの心に火をつけると“持ち味出しちゃっていい?”と臨戦態勢へ。「The World is ours!」では“Oh×3”のコールが轟きダンサーも大漁旗を振って会場はパーティ状態。加えてU.S.Aダンスも差し込んでくるから盛り上がらないわけがない……が、とどめで「カーニバる?」。サンバのテイストに合わせてナオト自身がボールを蹴り込みプレゼントするシーンもあり、観客は大いに弾けて昇天! 存分に“お祭り男”の力量を発揮してくれた。一瞬たりとも退屈させないステージングは、もはや文化財クラス!

  • Anly
  • Anly
  • Anly
  • Anly

Anly

文字どおり開口一番のアカペラは、FM802の番組「SATURDAY AMUSIC ISLANDS morning edition」 内の企画「起きたらAnly~名曲アルバム~」で話題を集めたクイーンのカバー「ボヘミアン・ラプソディ」。高音が空を切りオペラパートも堂々たるもので、観客は息を飲み、曲後には大きな拍手が送られる。この強いインパクトのあとは「この闇を照らす光のむこうに」の叙情的な感触。モニターに映る横顔も凛として、再びのアカペラでは会場が集中し静まり返るひと幕も……。Anlyの求心力の高さがうかがえる。しかし真骨頂はここから。まくし立てるボーカルやラップが挑発的な「FIRE」と、自身の故郷・沖縄の音楽を思わせる旋律も組み込まれた「We’ll Never Die」では、ループペダルを駆使してギターやコーラスを重ね、現在進行形の音作り。会場のクラップも参加して一つの音楽が完成する感覚を味あわせてくれた。

  • あいみょん
  • あいみょん
  • あいみょん
  • あいみょん

あいみょん

名前のアナウンスに、子どもが“あいみょんや!”と声をあげる人気者のライブは「愛を伝えたいだとか」から。気だるくも鋭利なボーカルでその存在を改めて知らしめると、今度は声にも表情にも温もりある「君はロックを聴かない」と「ふたりの世界」へ。ひとり言のようにも物語を紡ぐようにも聴こえる歌声は、アコースティックギターの音色とともに心を射抜いて甘じょっぱい気分にさせる。さらに「今夜このまま」では女の子らしさを漂わせ、「生きていたんだよな」では衝動を爆発させ、ズバ抜けた表現力を自在に操りファンを陥落させると、MCでは “(これまで)大阪でフェス(出演)が少なかったんですよ。宮っ子(西宮出身)なのに”と話し、客席に問いかけて“え、西宮(から来た)? ほんまうれしい!”と地元愛たっぷり。そんな飾らない彼女が歌うロック「貴方解剖純愛歌~死ね~」は心の中そっくりそのままの“あいみょん節”炸裂で、かわいらしさと刺々しさの同居がたまらない。そこに“去年の夏、大好きな太陽の塔の下に咲いていた花の歌を歌って帰ります”と、ヒットナンバー「マリーゴールド」のダメ押し! 会場をうちわやタオルの花で満開にして全7曲は鮮やかに締めくくられた。

  • ビッケブランカ
  • ビッケブランカ
  • ビッケブランカ
  • ビッケブランカ

ビッケブランカ

今年、SNSで拡散された新しい公式ハッシュタグ“#ミザワビ”。その生みの親こそ、ビッケブランカだ! そんな出演決定時からやる気まんまんの彼は「ウララ」で極上ポップを全開にしてリスナーを揺らし、あっと言う間にとりこにすると、MCでも過密スケジュールを縫って来阪するたび“スターみたいやな”と言われることから“やっぱり僕はスターではないんだな(笑)”と笑いを誘って和やか雰囲気に……。しかしそこからはバラード「まっしろ」とパーティチューン「Ca Va?」でアップ&ダウン。エモーショナルなメロディと透き通るファルセットで胸を締めつけたあとの、あの手この手で前のめりにする「Ca Va?」は破壊力大。七変化の“Ca Va?コール”も豪快にぶちまけ、わずか3曲で多彩な音世界を体感させてくれた。“#ミザワビ”も含め今回の敢闘賞は彼かもしれない。

  • Superfly
  • Superfly
  • Superfly
  • Superfly

Superfly

タイトルよろしく「ハロー・ハロー」をひと節、あいさつ代わりにアカペラで響かせると、鼓動のようなドラムとクラップを伴って「Beautiful」。抜群に伸びやかなボーカリゼーションで“歌の力”を見せつけ、“大阪、行くぜ!”とキラーチューン「タマシイレボリューション」で猛攻へ! ダイナミックでソウルフルな歌声は観客の気分をグイッと持ち上げ、思わず誰もがハンズアップで力強いロックを謳歌する。しかしMCではたおやかに“11年ぶりに出演させていただき、ありがとうございます!帰ってこれてうれしいです”と語り、続くのは“つい誰かと比べちゃうけど、そんな時ほど自分を大切にできたらなと……”と「Gifts」。清らかなナンバーは体温を伝えるように丁寧に歌われ、心が洗われるよう。しかも次はピアノイントロが流れた瞬間に観客から“あ!”と声があがる「愛をこめて花束を」をチョイス。曲の美しさが会場に浸透する。見ればたくさんの人がリップシンクしてどっぷりと“Superflyワールド”に没入。そしてお別れに選ばれたのはアルトボイスでも魅了するAメロからスケール感を持って突き抜ける新曲「Ambitious」。再度観客を高めきり、去り際には笑顔と投げキスをプレゼントしていった。そのチャーミングさにも彼女の人気の理由を見たり!

  • 平井 大
  • 平井 大
  • 平井 大
  • 平井 大

平井 大

スローかつ軽やかにウクレレと味のある声で「Life is Beautiful」を繰り広げれば、ほっこりとした時が会場に流れ始め、ソフトなピアノからドラマチックに進む「祈り花」では鼓膜とハートを細かに震えさせる。加えてここでエリック・クラプトンの「Change The World」をカバーしてより一層甘く……と思いきや、うなるギターや平井のビブラートで人間味がプラスされ、観客も本人もなんとも気持ちよさげだ。また“夏にぴったりな曲ができました”と、新曲の「Beautiful Journey」でメロディックに夏の景色を描き出し、雲が覆う17:30頃の会場を夕暮れビーチに変えると、“ギフトとしてお渡ししたい曲です。受け取ってくれますか?”と最後は「THE GIFT」。どこか懐かしさも覚えるスイートなメロディとハートウォーミングなリリックでもう一度ほっこりさせ、約25分の緩やかな夏のひと時を堪能させてくれた。

  • くるり
  • くるり
  • くるり
  • くるり

くるり

トリを飾るのは2001年以来の出演となる、くるり! その第一投は「琥珀色の街、上海蟹の朝」の変化球で、ラップもオリエンタルな質感も一つにして楽々と観客の肩の力を抜き2つの名曲へとつなげる。繊細に刻むピアノやベースと穏やかなボーカルでやさしく包み込む「ばらの花」、彼らだからこそのしなやかなダンスミュージック「ワールズエンド・スーパーノヴァ」、どちらも時を経ても色あせることなく、胸を熱くしたり脳内でリフレインしたりと観客を揺さぶる。そしてMCも18年前の出演時の思い出話になり、FM802とバンドの歴史の長さを思わせると、次は「Liberty & Gravity」。ファンファンの妖しげなトランペットや“よいしょ”の掛け声などをまとって色とりどりの展開から壮大なロックへと昇華し、そのまま「虹」へ。鮮明に情景を浮かび上がらせる言葉で綴るナンバーは、徐々に荒ぶる歌声がさらに熱をもたらして聴く者を圧倒。だが、まだまだ!とばかりに、ドラムで覚醒させるイントロから、どっしりとゆったりと「HOW TO GO」を最終投下。雨も降り出しそうな曇天の下、楽器もボーカルも叫ぶような鬼気迫るプレイは人々を立ち尽くさせ頭の中を無にし、静かで消えない興奮を与えてくれた。元・メンバーのクリストファー・マグワイア(D)と共に鳴らされた今回のセットリストは、常に進化し続けるくるりの歩みを垣間見せた名曲ぞろいの感涙もの! 全世代のリスナーが今日彼らの音楽が作ったまばゆい光景を忘れることはないだろう。

SESSIONS

SESSIONS

  • SESSIONS
  • SESSIONS
  • SESSIONS
  • SESSIONS

ライブの余韻がさめぬなか、FM802のDJ・大抜卓人、早川和余、内田絢子が舞台に上がりここまでを振り返ると、“もうちょっと楽しみたくないですか?”(大抜)と、恒例のアンコールセッションへ! 全アーティストがカムバックし、くるりの代表曲「ロックンロール」をマイクリレーする。モニターには、うちわでエアギターするナオト・インティライミや、セルフィーする平井 大とあいみょんの様子なども流れ、今日しか見られない貴重でゴージャスなコラボレーションに会場は再沸騰! 大歓声と大拍手が巻き起こり、ついに「FM802 30PARTY MEET THE WORLD BEAT 2019」は大団円を迎えた。終演後、帰路につく人たちはもれなく上気した顔。それはグッドミュージックに満たされ、かけがえのない1日を過ごした何よりの証しだった。




写真:森好弘・渡邉一生 ・阪東美音・キシノユイ
テキスト:服田昌子

特 別 協 賛

  • サントリー生ビール
  • HORIBA

協 賛

  • 日本旅行
  • マクセル
  • アコム

協 力

  • ぴあ
  • J:COM
  • スペースシャワーTV